中唐5ー元結
賊退示官吏 賊退いて官吏に示す (中八句)
今来典斯郡 今 来たりて斯(こ)の郡を典(つかさど)るに
山夷又紛然 山夷(さんい) 又(ま)た紛然(ふんぜん)たり
城小賊不屠 城(まち)小にして 賊(ぞく)屠(ほう)らず
人貧傷可憐 人(ひと)貧にして 傷み憐れむ可し
是以陷隣境 是(ここ)を以て隣境を陥(おとしい)るるも
此州独見全 此の州(しゅう) 独り全(まった)きを見る
使臣将王命 使臣(ししん) 王命を将(う)く
豈不如賊焉 豈(あ)に賊に如(し)かざらんや
⊂訳⊃
やがてこの郡を 治めることになったが
またもや山賊が 騒ぎはじめる
この町は小さくて 皆殺しにならなかったが
貧しさを憐れんで 見逃してくれたのであろう
となりの州は 踏みにじられ
この州だけが 無事であった
朝廷の使者が 天子の命を受けてやってくる
かれらは 山賊と同じではないか
⊂ものがたり⊃ 中八句のはじめ四句は、現在のことです。刺史(州の長官)として道州に赴任してきましたが、またもや「山夷」(山地の蛮族)が騒ぎはじめました。道州は小さな町で皆殺しには遭わなかったが、それは賊たちが人々の貧しいのに同情して見逃してくれからだといいます。この部分も布石です。
つぎの四句のはじめ二句は、近隣の地域は賊に踏みにじられたが道州だけは無事であったと前段を強調します。そして「使臣」(朝廷の使者)が「王命」(天子の命令)を受けてやって来たといい、「豈に賊に如かざらんや」と詠います。つまり、朝廷の使者は賊と同じではないかと二重否定の語法で強調するのです。
賊退示官吏 賊退いて官吏に示す (中八句)
今来典斯郡 今 来たりて斯(こ)の郡を典(つかさど)るに
山夷又紛然 山夷(さんい) 又(ま)た紛然(ふんぜん)たり
城小賊不屠 城(まち)小にして 賊(ぞく)屠(ほう)らず
人貧傷可憐 人(ひと)貧にして 傷み憐れむ可し
是以陷隣境 是(ここ)を以て隣境を陥(おとしい)るるも
此州独見全 此の州(しゅう) 独り全(まった)きを見る
使臣将王命 使臣(ししん) 王命を将(う)く
豈不如賊焉 豈(あ)に賊に如(し)かざらんや
⊂訳⊃
やがてこの郡を 治めることになったが
またもや山賊が 騒ぎはじめる
この町は小さくて 皆殺しにならなかったが
貧しさを憐れんで 見逃してくれたのであろう
となりの州は 踏みにじられ
この州だけが 無事であった
朝廷の使者が 天子の命を受けてやってくる
かれらは 山賊と同じではないか
⊂ものがたり⊃ 中八句のはじめ四句は、現在のことです。刺史(州の長官)として道州に赴任してきましたが、またもや「山夷」(山地の蛮族)が騒ぎはじめました。道州は小さな町で皆殺しには遭わなかったが、それは賊たちが人々の貧しいのに同情して見逃してくれからだといいます。この部分も布石です。
つぎの四句のはじめ二句は、近隣の地域は賊に踏みにじられたが道州だけは無事であったと前段を強調します。そして「使臣」(朝廷の使者)が「王命」(天子の命令)を受けてやって来たといい、「豈に賊に如かざらんや」と詠います。つまり、朝廷の使者は賊と同じではないかと二重否定の語法で強調するのです。