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ティェンタオの自由訳漢詩 2007

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 中唐4ー元結
   賊退示官吏        賊退いて官吏に示す          (前八句)

  昔年逢太平     昔年(せきねん)  太平に逢(あ)い
  山林二十年     山林(さんりん)  二十年
  泉源在庭戸     泉源(せんげん)  庭戸(ていこ)に在り
  洞壑当門前     洞壑(どうがく)   門前に当たる
  井税有常期     井税(せいぜい)  常期(じょうき)有り
  日晏猶得眠     日(ひ)晏(た)けて猶(な)お眠るを得たり
  忽然遭世変     忽然(こつぜん)  世変(せいへん)に遭い
  数歳親戎旃     数歳(すうさい)  戎旃(じゅうせん)を親(みずか)らす

  ⊂訳⊃
          かつて  太平の世に巡り合い
          山林で  二十年を過ごす
          庭の入口に  泉の水源があり
          門の前に   ほら穴があるように涼しい
          むかしは納税にも  一定の時期があり
          日が高くなっても   眠っていることができた
          ところが突然  世の異変に遭い
          数年のあいだ  軍隊生活を送る


 ⊂ものがたり⊃ 元結(げんけつ:719ー772)は河南魯山(河南省魯山県)の人。天宝六載(747)の玄宗皇帝の制科に挑みましたが、杜甫も受験したこのときの制科は、宰相李林甫(りりんぽ)の画策によって全員落第となりました。
 天宝十三載(754)に三十六歳で進士に及第。安史の乱の討伐に参加して戦功があり、代宗の広徳元年(763)に道州(湖南省道県)の刺史になります。そのころから困窮した民に重税を課す役人の立場に悩みを抱くようになったといいます。
 詩題の「賊」は自序に湖南各地を荒らしまわる賊のことが触れられており、詩中に「山夷」とありますので、安史の乱後、山地の異民族が漢族の町を襲った事件を指すと思われます。賊を退けたあと、官吏が集まる宴会の席で披露した作品と思われます。
 まず、はじめの四句で自分の人生を振り返り、若いころの生活を述べます。「山林 二十年」は進士に及第するまでの二十年間、農業に従事していたことを示しています。三十六歳で進士に及第していますので、十六歳のころから山林で自活しながら勉学に励んでいたのでしょう。
 つぎの四句では、安史の乱が起こって討伐に参加したことを語ります。「井税」は畑や住宅にかかる税金のことで、昔は納税に一定の規律があり、むやみに取り立てられることはなかったと詠います。ここで税金が出てくるのは、後の句の布石です。

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