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ティェンタオの自由訳漢詩 2001

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 盛唐95ー高適
     除夜作           除夜の作

  旅館寒燈独不眠   旅館の寒燈(かんとう)  独り眠らず
  客心何事転凄然   客心(かくしん)  何事ぞ  転(うた)た凄然(せいぜん)
  故郷今夜思千里   故郷(こきょう)  今夜  千里を思う
  霜鬢明朝又一年   霜鬢(そうびん)  明朝  又(ま)た一年

  ⊂訳⊃
          寒々とした宿の灯火  ひとり眠れずにいると

          旅の寂しさが  なぜか凄然と湧いてくる

          大晦日の今夜  はるか千里の故郷を思う

          明日の朝には  鬢の白髪も増えてまた一歳


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「除夜」(じょや)は大晦日の晩。制作時期は不明ですが、高適は天宝八載(749)に四十三歳くらいで科挙の有道科に及第します。汴州封丘(河南省開封市)の県尉になりますが、地位の低さに失望して辞任し、放浪生活にもどります。詩には失意がにじみ出ており、そのころの作品ではないでしょうか。
 前半二句は、みすぼらしい宿に泊まったときの心境です。後半は「転た凄然」であることの理由を述べます。寂しさは大晦日の夜に故郷を思うことから湧いてきます。故郷を思うことは、故郷で自分を思っている家族を思うことでもあります。新年になればまた一歳、年も増え白髪も増えると歎きます。

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