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ティェンタオの自由訳漢詩 2000

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 盛唐94ー高適
   別董大二首 其一      董大に別る 二首  其の一

  十里黄雲白日曛   十里の黄雲(こううん)  白日(はくじつ)曛(くら)し
  北風吹雁雪紛紛   北風(ほくふう)   雁(かり)を吹いて  雪紛紛(ふんぷん)
  莫愁前路無知己   愁うる莫(な)かれ  前路(ぜんろ)に知己(ちき)無きことを
  天下誰人不識君   天下  誰人(たれびと)か  君を識(し)らざらん

  ⊂訳⊃
          黄砂は煙る十里の間  真昼の太陽もほの暗い

          雁を吹き飛ばす北風  雪も盛んに降ってきた

          だが旅立つ君よ  前途に知己がいないと心配するな

          この広い天下に  君を理解する者がいないはずはない


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「董大」(とうだい)は董廷蘭(とうていらん)といい、琴の名手として有名だったといいます。制作時期は分かりませんが、董大との別れに際して前途を励ます詩です。
 はじめの二句で場所を述べます。北の辺境地帯と思われ、「黄雲」は黄砂の雲または日暮れの雲ですが、ここでは「白日」(輝く太陽)ですから、黄砂の雲でしょう。北風も吹き荒れ、雪が降っています。それらは人生の苦難の比喩でもあるのです。
 後半の「知己」は心から語り合える友のこと。君ほどの才能があれば、きっと認めてくれる人が現れ、召し抱えてくれよと励まします。

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