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ティェンタオの自由訳漢詩 1997

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 盛唐91ー高適
    栄州歌               栄州の歌

  栄州少年厭原野   栄州(えいしゅう)の少年  原野(げんや)に厭(あ)く
  皮裘蒙茸猟城下   皮裘(ひきゅう)  蒙茸(もうじょう)として  城下に猟(かり)す
  虜酒千鍾不酔人   虜酒(りょしゅ)千鍾(せんしょう)  人を酔わしめず
  胡児十歳能騎馬   胡児(こじ)  十歳  能(よ)く馬に騎(の)る

  ⊂訳⊃
          栄州の若者たちは  広い野原を知り尽くし

          皮衣をなびかせて  砦のそばで狩をする

          酒を千杯飲もうと   酔うこともなく

          胡児たちは十歳で  馬を上手に乗りこなす


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「栄州」は遼寧省のあたりをいい、契丹族と境を接しています。そこにでかけた高適が胡族の印象を書きとめた詩です。「原野に厭く」というのは原野のことをよく知っているという意味です。「蒙茸」は乱れる、ばらばらになることで、「皮裘」(皮ごろも)が風になびくさまをいいます。
 当時、辺境を訪れた詩人は見分を記録して内地に送る務めがありました。そうした活動が官に認められる切っ掛けになるのであり、若いころ、生家に近い東北辺境を訪れたときの作とみられます。

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