盛唐90ー高適
田家春望 田家の春望
出門何所見 門を出(い)でて何の見る所ぞ
春色満平蕪 春色(しゅんしょく) 平蕪(へいぶ)に満つ
可歎無知己 歎(たん)ず可(べ)し 知己(ちき)無きを
高陽一酒徒 高陽(こうよう)の一酒徒(いちしゅと)
⊂訳⊃
わが家の門を出れば 何が見えるのか
見渡す限りの平原に 春の息吹が満ちている
嘆かわしいのは おれを知る者がいないこと
儒者ではないぞ 高陽に一酒徒だ
⊂ものがたり⊃ 高適(こうせき:707?ー765)は滄州勃海(河北省滄県)の人。若いころには定職につかず、遊侠の徒と交わったといいます。王之渙(おうしかん:4月3日のグログ参照)と親しんだと言われていますので、詩にも目覚めていたと思われます。
詩題の「田家」(でんか)は田舎の家。「出門」は出世のためにわが家の門を出ることで、「知己」は自分の才能を理解する者の意味です。結句の「高陽の一酒徒」は漢の高祖劉邦が天下を取る前の故事を踏まえています。
劉邦が軍を率いて西進していたとき、高陽(河南省杞県)の酈食其(れいいき)が劉邦に面会を求めました。取りつぎの者が儒者には会わないことになっていると告げると、酈食其は「おれは高陽の一酒徒だ。儒者ではない」と怒鳴りつけたといいます。その言葉を引いているのです。
田家春望 田家の春望
出門何所見 門を出(い)でて何の見る所ぞ
春色満平蕪 春色(しゅんしょく) 平蕪(へいぶ)に満つ
可歎無知己 歎(たん)ず可(べ)し 知己(ちき)無きを
高陽一酒徒 高陽(こうよう)の一酒徒(いちしゅと)
⊂訳⊃
わが家の門を出れば 何が見えるのか
見渡す限りの平原に 春の息吹が満ちている
嘆かわしいのは おれを知る者がいないこと
儒者ではないぞ 高陽に一酒徒だ
⊂ものがたり⊃ 高適(こうせき:707?ー765)は滄州勃海(河北省滄県)の人。若いころには定職につかず、遊侠の徒と交わったといいます。王之渙(おうしかん:4月3日のグログ参照)と親しんだと言われていますので、詩にも目覚めていたと思われます。
詩題の「田家」(でんか)は田舎の家。「出門」は出世のためにわが家の門を出ることで、「知己」は自分の才能を理解する者の意味です。結句の「高陽の一酒徒」は漢の高祖劉邦が天下を取る前の故事を踏まえています。
劉邦が軍を率いて西進していたとき、高陽(河南省杞県)の酈食其(れいいき)が劉邦に面会を求めました。取りつぎの者が儒者には会わないことになっていると告げると、酈食其は「おれは高陽の一酒徒だ。儒者ではない」と怒鳴りつけたといいます。その言葉を引いているのです。