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ティェンタオの自由訳漢詩 1994

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 盛唐88ー岑参
   白雪歌  送            白雪の歌 武判官
   武判官帰京            の京に帰るを送る       (後半八句)

  中軍置酒飲帰客   中軍(ちゅうぐん)  置酒(ちしゅ)して帰客(ききゃく)に飲ましむ   
  胡琴琵琶与羌笛   胡琴(こきん)と琵琶(びわ)と羌笛(きょうてき)と
  紛紛暮雪下轅門   紛紛(ふんぷん)たる暮雪(ぼせつ)  轅門(えんもん)に下り
  風掣紅旗凍不翻   風は紅旗(こうき)を掣(ひ)くも   凍(こお)って翻らず
  輪台東門送君去   輪台(りんだい)の東門(とうもん)  君の去るを送る
  去時雪満天山路   去る時  雪は満つ  天山の路(みち)
  山廻路転不見君   山(やま)廻(めぐ)り  路(みち)転じて君を見ず
  雪上空留馬行処   雪上(せつじょう)   空しく留む  馬の行きし処

  ⊂訳⊃
          本陣で酒宴を催し  旅立つ君を見送る
          胡琴 琵琶 羌笛  音楽も賑やかだ
          日暮の雪は舞って 本陣の門に積もり
          風は軍旗を吹くが  旗は凍って翻らない
          ここ輪台の東門で  去りゆく君を見送れば
          そのとき雪は    天山の路に満ちているだろう
          山は連なり路は曲がって  君の姿は見えなくなり
          雪の上に空しく残るのは  馬の蹄の跡ばかり


 ⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、一転して自分たちがいる「中軍」(本陣)のようすに移ります。「置酒」は宴の席を設けること。送別の宴が開かれ、賑やかに音楽が奏されますが、外は吹雪です。「紅旗」(軍旗)も凍りついてはためきません。
 最後の四句は結びで、「輪台」(新疆ウイグル自治区孚遠県)は北庭都護府のある地です。ここで「武判官」を見送るのですが、武判官が去ったあとの情景を詠って別れの言葉とします。本来は最後の四句だけで送別詩になるのですが、送別の機会に北庭都護府の厳しい自然環境を詠ったものであり、詩は武判官によって都へ持ち帰られ、中央に届くのを期待するのです。正式の報告でない情報伝達になります。

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