盛唐88ー岑参
白雪歌 送 白雪の歌 武判官
武判官帰京 の京に帰るを送る (後半八句)
中軍置酒飲帰客 中軍(ちゅうぐん) 置酒(ちしゅ)して帰客(ききゃく)に飲ましむ
胡琴琵琶与羌笛 胡琴(こきん)と琵琶(びわ)と羌笛(きょうてき)と
紛紛暮雪下轅門 紛紛(ふんぷん)たる暮雪(ぼせつ) 轅門(えんもん)に下り
風掣紅旗凍不翻 風は紅旗(こうき)を掣(ひ)くも 凍(こお)って翻らず
輪台東門送君去 輪台(りんだい)の東門(とうもん) 君の去るを送る
去時雪満天山路 去る時 雪は満つ 天山の路(みち)
山廻路転不見君 山(やま)廻(めぐ)り 路(みち)転じて君を見ず
雪上空留馬行処 雪上(せつじょう) 空しく留む 馬の行きし処
⊂訳⊃
本陣で酒宴を催し 旅立つ君を見送る
胡琴 琵琶 羌笛 音楽も賑やかだ
日暮の雪は舞って 本陣の門に積もり
風は軍旗を吹くが 旗は凍って翻らない
ここ輪台の東門で 去りゆく君を見送れば
そのとき雪は 天山の路に満ちているだろう
山は連なり路は曲がって 君の姿は見えなくなり
雪の上に空しく残るのは 馬の蹄の跡ばかり
⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、一転して自分たちがいる「中軍」(本陣)のようすに移ります。「置酒」は宴の席を設けること。送別の宴が開かれ、賑やかに音楽が奏されますが、外は吹雪です。「紅旗」(軍旗)も凍りついてはためきません。
最後の四句は結びで、「輪台」(新疆ウイグル自治区孚遠県)は北庭都護府のある地です。ここで「武判官」を見送るのですが、武判官が去ったあとの情景を詠って別れの言葉とします。本来は最後の四句だけで送別詩になるのですが、送別の機会に北庭都護府の厳しい自然環境を詠ったものであり、詩は武判官によって都へ持ち帰られ、中央に届くのを期待するのです。正式の報告でない情報伝達になります。
白雪歌 送 白雪の歌 武判官
武判官帰京 の京に帰るを送る (後半八句)
中軍置酒飲帰客 中軍(ちゅうぐん) 置酒(ちしゅ)して帰客(ききゃく)に飲ましむ
胡琴琵琶与羌笛 胡琴(こきん)と琵琶(びわ)と羌笛(きょうてき)と
紛紛暮雪下轅門 紛紛(ふんぷん)たる暮雪(ぼせつ) 轅門(えんもん)に下り
風掣紅旗凍不翻 風は紅旗(こうき)を掣(ひ)くも 凍(こお)って翻らず
輪台東門送君去 輪台(りんだい)の東門(とうもん) 君の去るを送る
去時雪満天山路 去る時 雪は満つ 天山の路(みち)
山廻路転不見君 山(やま)廻(めぐ)り 路(みち)転じて君を見ず
雪上空留馬行処 雪上(せつじょう) 空しく留む 馬の行きし処
⊂訳⊃
本陣で酒宴を催し 旅立つ君を見送る
胡琴 琵琶 羌笛 音楽も賑やかだ
日暮の雪は舞って 本陣の門に積もり
風は軍旗を吹くが 旗は凍って翻らない
ここ輪台の東門で 去りゆく君を見送れば
そのとき雪は 天山の路に満ちているだろう
山は連なり路は曲がって 君の姿は見えなくなり
雪の上に空しく残るのは 馬の蹄の跡ばかり
⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、一転して自分たちがいる「中軍」(本陣)のようすに移ります。「置酒」は宴の席を設けること。送別の宴が開かれ、賑やかに音楽が奏されますが、外は吹雪です。「紅旗」(軍旗)も凍りついてはためきません。
最後の四句は結びで、「輪台」(新疆ウイグル自治区孚遠県)は北庭都護府のある地です。ここで「武判官」を見送るのですが、武判官が去ったあとの情景を詠って別れの言葉とします。本来は最後の四句だけで送別詩になるのですが、送別の機会に北庭都護府の厳しい自然環境を詠ったものであり、詩は武判官によって都へ持ち帰られ、中央に届くのを期待するのです。正式の報告でない情報伝達になります。