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ティェンタオの自由訳漢詩 1991

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 盛唐85ー岑参
   送劉判官赴磧西       劉判官の磧西に赴くを送る

  火山五月行人少   火山  五月  行人(こうじん)少(まれ)なり
  看君馬去疾如鳥   看(み)る  君が馬(うま)去って疾(と)きこと鳥の如くなるを
  都護行営太白西   都護(とご)の行営(こうえい)  太白(たいはく)の西
  角声一動胡天暁   角声(かくせい)一(ひと)たび動いて胡天(こてん)暁(あ)く

  ⊂訳⊃
          火焔山の五月  旅する人はまれだが

          君の乗馬が   鳥のように駆けてゆくのが見えるようだ

          安西都護府は  金星のかがやく西にあり

          角笛がひとたび鳴れば  胡地の空は夜明けとなる


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「劉判官」(りゅうはんがん)は劉単という人と推定されていますが、経歴は不詳です。「磧西」(せきせい)は安西の別称で、安西都護府へ向かう劉判官を送る詩です。どこで見送ったかについて、岑参が河西節度使(甘粛省武威県)の幕下にいたときとする説もありますが、安西都護府の任を終えて長安に帰っていたときの作とするのがいいようです。
 承句の「看る」は目に見えるようだと旅先を想像して励ますのでしょう。「都護の行営」は安西都護府のことですが、このときは庫車(クチャ:新疆ウイグル自治区)に移っていたようです。「太白」については金星(明けの明星)説と太白山(陝西省眉県の南)説がありますが、長安にいれば太白山説も可能です。しかし、金星説は結句の「胡天暁く」と馴染みますので金星説によりました。

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