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ティェンタオの自由訳漢詩 1983

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 盛唐77ー岑参
   戯問花門酒家翁      戯れに花門の酒家の翁に問う

  老人七十仍沽酒   老人  七十  仍(な)お酒を沽(う)る
  千壺百甕花門口   千壺(せんこ)  百甕(ひゃくおう)  花門(かもん)の口
  道傍楡莢仍似銭   道傍(どうぼう)の楡莢(ゆきょう)  仍(な)お銭(ぜに)に似たり
  摘来沽酒君肯否   摘み来たって酒を沽(か)う  君  肯(がえ)んずるや否(いな)や

  ⊂訳⊃
          七十歳というのに  老人は店で酒を売る

          幾百千の酒甕が   花門楼の入口に並ぶ

          道端の楡の実が   酔った私には銭に見え

          摘み取って酒を買いたいが  よろしいかな


 ⊂ものがたり⊃ 顔真卿を見送った翌年の天宝八載(749)、こんどは岑参自身が安西節度使高仙芝(こうせんし)の幕僚になって安西都護府(新疆ウイグル自治区トルファン)に赴任することになります。このころ玄宗皇帝は西域方面にしきりに兵を出していました。
 詩題の「花門」は涼州(甘粛省武威県)にあった酒楼の名で、西域に赴任する途中、花門楼に立ち寄って書いた作品です。「楡莢」は並木の楡の実で、丸い莢になっています。それが銭のように見えると戯れて、摘み取って酒を買いたいが、よろしいかと詠います。

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