盛唐77ー岑参
戯問花門酒家翁 戯れに花門の酒家の翁に問う
老人七十仍沽酒 老人 七十 仍(な)お酒を沽(う)る
千壺百甕花門口 千壺(せんこ) 百甕(ひゃくおう) 花門(かもん)の口
道傍楡莢仍似銭 道傍(どうぼう)の楡莢(ゆきょう) 仍(な)お銭(ぜに)に似たり
摘来沽酒君肯否 摘み来たって酒を沽(か)う 君 肯(がえ)んずるや否(いな)や
⊂訳⊃
七十歳というのに 老人は店で酒を売る
幾百千の酒甕が 花門楼の入口に並ぶ
道端の楡の実が 酔った私には銭に見え
摘み取って酒を買いたいが よろしいかな
⊂ものがたり⊃ 顔真卿を見送った翌年の天宝八載(749)、こんどは岑参自身が安西節度使高仙芝(こうせんし)の幕僚になって安西都護府(新疆ウイグル自治区トルファン)に赴任することになります。このころ玄宗皇帝は西域方面にしきりに兵を出していました。
詩題の「花門」は涼州(甘粛省武威県)にあった酒楼の名で、西域に赴任する途中、花門楼に立ち寄って書いた作品です。「楡莢」は並木の楡の実で、丸い莢になっています。それが銭のように見えると戯れて、摘み取って酒を買いたいが、よろしいかと詠います。
戯問花門酒家翁 戯れに花門の酒家の翁に問う
老人七十仍沽酒 老人 七十 仍(な)お酒を沽(う)る
千壺百甕花門口 千壺(せんこ) 百甕(ひゃくおう) 花門(かもん)の口
道傍楡莢仍似銭 道傍(どうぼう)の楡莢(ゆきょう) 仍(な)お銭(ぜに)に似たり
摘来沽酒君肯否 摘み来たって酒を沽(か)う 君 肯(がえ)んずるや否(いな)や
⊂訳⊃
七十歳というのに 老人は店で酒を売る
幾百千の酒甕が 花門楼の入口に並ぶ
道端の楡の実が 酔った私には銭に見え
摘み取って酒を買いたいが よろしいかな
⊂ものがたり⊃ 顔真卿を見送った翌年の天宝八載(749)、こんどは岑参自身が安西節度使高仙芝(こうせんし)の幕僚になって安西都護府(新疆ウイグル自治区トルファン)に赴任することになります。このころ玄宗皇帝は西域方面にしきりに兵を出していました。
詩題の「花門」は涼州(甘粛省武威県)にあった酒楼の名で、西域に赴任する途中、花門楼に立ち寄って書いた作品です。「楡莢」は並木の楡の実で、丸い莢になっています。それが銭のように見えると戯れて、摘み取って酒を買いたいが、よろしいかと詠います。