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ティェンタオの自由訳漢詩 1974

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 盛唐68ー賈至
   初至巴陵与李十二       初めて巴陵に至り 李十二
   白同泛洞庭湖          白と同に洞庭湖に泛ぶ

  楓岸粉粉落葉多   楓岸(ふうがん)粉粉(ふんぷん)として落葉(らくよう)多し
  洞庭秋水晩来波   洞庭の秋水(しゅうすい)   晩来(ばんらい)波だつ
  乗興軽舟無近遠   興(きょう)に乗じては軽舟  近遠(きんえん)無し
  白雲明月弔湘娥   白雲明月  湘娥(しょうが)を弔(とむら)わん

  ⊂訳⊃
          楓樹の繁る岸辺に  落ち葉ははらはらと散り

          秋の洞庭湖の水は  日暮れになると波立って来る

          趣くままに舟を出し  あちらこちらへ漕ぎまわり

          明月にかかる白雲  湘江の女神をとむらおう


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「巴陵」(はりょう)は岳州巴陵(湖南省岳陽市)、岳陽のことです。「李十二白」は詩人の李白のこと。賈至を訪ねて岳陽にやってきた李白と洞庭湖で舟遊びをしたときの作品です。同じく江南に流されてきていた刑部侍郎李曄(りよう)も同行して、三人の交遊でした。
 結びの「白雲明月 湘娥を弔わん」には流謫の身を自嘲する気持ちが込められているようです。「湘娥」は帝堯の娘で帝舜の妻になった姉妹のこと。舜が南方を巡察中に亡くなったのを悲しみ、湘江に身を投げて神になりました。「湘娥」は洞庭湖の神でもありますので、幸運を神に祈ろうと笑って詠う感じです。

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