盛唐67ー賈至
西亭春望 西亭春望
日長風暖柳青青 日は長く風は暖かにして柳青青(せいせい)たり
北雁帰飛入窅冥 北雁(ほくがん)帰り飛んで窅冥(ようめい)に入る
岳陽城上聞吹笛 岳陽城上(がくようじょうじょう) 笛を吹くを聞けば
能使春心満洞庭 能(よ)く春心(しゅんしん)をして洞庭に満たしむ
⊂訳⊃
春の日は長く風は暖か 柳は青々と芽吹く
雁は北へと飛び去り 大空に消えた
岳陽城の城頭で 笛の音を聞けば
春の愁いは胸に満ち 洞庭湖上に満ちわたる
⊂ものがたり⊃ 上皇になった玄宗もほどなく長安に帰ってきますが、自分の許しもなく即位し、事後承認させられた粛宗と不和になります。そうしたこともあって、朝廷内に派閥の争いが生じたようです。戦後の諸問題もかかえて、政府は多難でした。
賈至は忠勤に励むつもりでしたが、ほどなく弾劾されて岳州(湖南省岳陽市)に流されます。詩は岳州に流されたときのもので、「春望」(春の眺め)と題されていますが、貶謫の愁いが込められています。
詩題中の「西亭」(せいてい)は岳陽城の西方、洞庭湖に近いところにあったと見られます。「北雁」は北へ帰る雁であり、北は都の方角です。「窅冥」は深遠でよく見えないこと。大空を意味し、暗に長安の意向を諷刺するのでしょう。
西亭春望 西亭春望
日長風暖柳青青 日は長く風は暖かにして柳青青(せいせい)たり
北雁帰飛入窅冥 北雁(ほくがん)帰り飛んで窅冥(ようめい)に入る
岳陽城上聞吹笛 岳陽城上(がくようじょうじょう) 笛を吹くを聞けば
能使春心満洞庭 能(よ)く春心(しゅんしん)をして洞庭に満たしむ
⊂訳⊃
春の日は長く風は暖か 柳は青々と芽吹く
雁は北へと飛び去り 大空に消えた
岳陽城の城頭で 笛の音を聞けば
春の愁いは胸に満ち 洞庭湖上に満ちわたる
⊂ものがたり⊃ 上皇になった玄宗もほどなく長安に帰ってきますが、自分の許しもなく即位し、事後承認させられた粛宗と不和になります。そうしたこともあって、朝廷内に派閥の争いが生じたようです。戦後の諸問題もかかえて、政府は多難でした。
賈至は忠勤に励むつもりでしたが、ほどなく弾劾されて岳州(湖南省岳陽市)に流されます。詩は岳州に流されたときのもので、「春望」(春の眺め)と題されていますが、貶謫の愁いが込められています。
詩題中の「西亭」(せいてい)は岳陽城の西方、洞庭湖に近いところにあったと見られます。「北雁」は北へ帰る雁であり、北は都の方角です。「窅冥」は深遠でよく見えないこと。大空を意味し、暗に長安の意向を諷刺するのでしょう。