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ティェンタオの自由訳漢詩 1973

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 盛唐67ー賈至
    西亭春望              西亭春望

  日長風暖柳青青   日は長く風は暖かにして柳青青(せいせい)たり
  北雁帰飛入窅冥   北雁(ほくがん)帰り飛んで窅冥(ようめい)に入る
  岳陽城上聞吹笛   岳陽城上(がくようじょうじょう)  笛を吹くを聞けば
  能使春心満洞庭   能(よ)く春心(しゅんしん)をして洞庭に満たしむ

  ⊂訳⊃
          春の日は長く風は暖か 柳は青々と芽吹く

          雁は北へと飛び去り   大空に消えた

          岳陽城の城頭で     笛の音を聞けば

          春の愁いは胸に満ち   洞庭湖上に満ちわたる


 ⊂ものがたり⊃ 上皇になった玄宗もほどなく長安に帰ってきますが、自分の許しもなく即位し、事後承認させられた粛宗と不和になります。そうしたこともあって、朝廷内に派閥の争いが生じたようです。戦後の諸問題もかかえて、政府は多難でした。
 賈至は忠勤に励むつもりでしたが、ほどなく弾劾されて岳州(湖南省岳陽市)に流されます。詩は岳州に流されたときのもので、「春望」(春の眺め)と題されていますが、貶謫の愁いが込められています。
 詩題中の「西亭」(せいてい)は岳陽城の西方、洞庭湖に近いところにあったと見られます。「北雁」は北へ帰る雁であり、北は都の方角です。「窅冥」は深遠でよく見えないこと。大空を意味し、暗に長安の意向を諷刺するのでしょう。

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