盛唐62ー劉長卿
重送裴郎中 重ねて裴郎中の吉州
貶吉州 に貶せらるるを送る
猿啼客散暮江頭 猿(さる)啼(な)き 客は散ず 暮江(ぼこう)の頭(ほとり)
人自傷心水自流 人は自(おのず)から心を傷ましめ 水は自から流る
同作逐臣君更遠 同(とも)に逐臣(ちくしん)と作(な)りて 君 更に遠し
西山万里一孤舟 西山万里(せいざんばんり) 一孤舟(いちこしゅう)
⊂訳⊃
暮れ方の川のほとりで 猿は鳴き二人は別れる
人は悲しむ心を持つが 水は無心に流れていく
同じ流罪の身であるが 君と別れてさらに遠く
西山万里のかなたへと 私は消えゆく一孤舟
⊂ものがたり⊃ 劉長卿は転運使関係の仕事をしていたようですが、誣奏(ぶそう)によって姑蘇(江蘇省蘇州市)の獄に繋がれ、潘州南巴(広東省茂名県の東南)の県尉に流されます。詩題の「裴郎中」(はいろうちゅう)は伝不明です。劉長卿が南巴に流されるとき、途中で「吉州」(江西省吉安県)に流される裴郎中といっしょになりました。やがて別れるときがきて、渡津で別れの詩を贈りました。
起句の「 客は散ず」は旅人である二人が別れることです。承句は人は有情であるが水は無情、性質を異にしているので、川の水に人の悲しみが分かるわけはないと歎くのです。劉長卿の流謫地南巴は吉州よりも遥か南です。だから転句は、同じ逐臣だけど、わたしは「君」(裴郎中)から離れてさらに遠い地へ行くという意味になります。そして結びで、自分の姿を「西山万里」の彼方へゆく「一孤舟」に喩えて詠嘆します。
重送裴郎中 重ねて裴郎中の吉州
貶吉州 に貶せらるるを送る
猿啼客散暮江頭 猿(さる)啼(な)き 客は散ず 暮江(ぼこう)の頭(ほとり)
人自傷心水自流 人は自(おのず)から心を傷ましめ 水は自から流る
同作逐臣君更遠 同(とも)に逐臣(ちくしん)と作(な)りて 君 更に遠し
西山万里一孤舟 西山万里(せいざんばんり) 一孤舟(いちこしゅう)
⊂訳⊃
暮れ方の川のほとりで 猿は鳴き二人は別れる
人は悲しむ心を持つが 水は無心に流れていく
同じ流罪の身であるが 君と別れてさらに遠く
西山万里のかなたへと 私は消えゆく一孤舟
⊂ものがたり⊃ 劉長卿は転運使関係の仕事をしていたようですが、誣奏(ぶそう)によって姑蘇(江蘇省蘇州市)の獄に繋がれ、潘州南巴(広東省茂名県の東南)の県尉に流されます。詩題の「裴郎中」(はいろうちゅう)は伝不明です。劉長卿が南巴に流されるとき、途中で「吉州」(江西省吉安県)に流される裴郎中といっしょになりました。やがて別れるときがきて、渡津で別れの詩を贈りました。
起句の「 客は散ず」は旅人である二人が別れることです。承句は人は有情であるが水は無情、性質を異にしているので、川の水に人の悲しみが分かるわけはないと歎くのです。劉長卿の流謫地南巴は吉州よりも遥か南です。だから転句は、同じ逐臣だけど、わたしは「君」(裴郎中)から離れてさらに遠い地へ行くという意味になります。そして結びで、自分の姿を「西山万里」の彼方へゆく「一孤舟」に喩えて詠嘆します。