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ティェンタオの自由訳漢詩 1965

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 盛唐59ー劉長卿
   逢雪宿芙         雪に逢って芙蓉山
   蓉山主人         主人のもとに宿る

  日暮蒼山遠     日暮れて蒼山(そうざん)遠く
  天寒白屋貧     天(てん)寒くして白屋(はくおく)貧し
  柴門聞犬吠     柴門(さいもん)に犬の吠(ほ)ゆるを聞く
  風雪夜帰人     風雪(ふうせつ)  夜帰(やき)の人

  ⊂訳⊃
          日が落ちて  山は蒼く幽かになり

          寒気深まるなか  茅葺きの貧しげな家に宿る

          柴門のあたりで  犬の吠え声がし

          吹雪のなか  夜中に帰って来た人がある


 ⊂ものがたり⊃ 劉長卿(709?ー785?)は河間(河北省河間県)の人。宣州(安徽省宣城県)の人ともいいます。若いころ嵩山に籠もって読書をしたあと、鄱陽(江西省波陽県)に移住しました。開元二十一年(733)、二十五歳のころ進士に及第し、長州(江蘇省)の県尉になります。
 詩題の「芙蓉山」(ふようざん)は不明ですが、旅の途中、吹雪に逢って芙蓉山の麓の民家に一夜の宿を借りたときの詩でしょう。「白屋」は茅葺きの家。狭い家なので、夜中に屋外の物音や人の出入りする音が聞こえて来ます。その物音に耳をすませている作者のもの寂しい姿が浮かんできます。

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