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ティェンタオの自由訳漢詩 1959

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 盛唐53ー孟浩然
    春暁              春暁

  春眠不覚暁     春眠(しゅんみん)  暁(あかつき)を覚えず
  処処聞啼鳥     処処(しょしょ)  啼鳥(ていちょう)を聞く
  夜来風雨声     夜来(やらい)  風雨の声
  花落知多少     花落つること  知んぬ  多少(たしょう)ぞ

  ⊂訳⊃
          春の朝寝  夜明けも気づかずに寝過ごした

          あちらこちらで  鳥の囀る声がする

          夕べから  風雨の音がつづいていたが

          花は一体  どれほど散ったであろうか


 ⊂ものがたり⊃ 都で意を得なかった孟浩然は襄陽にもどり、しばらく隠棲生活をおくります。「春眠不覚暁」は普通、春の寝心地のよさと解されていますが、作家の陳舜臣はその夜は風雨の音が気になって眠れなかったので明け方にまどろんだと解しています。「夜来」の来には、ずっとつづいているというニュアンスがあり、一晩中風雨の音がしていたのです。
 人生の不運を嘆く比喩の詩と見る見方もあります。当時の官吏は夜明け前に出勤する定めでした。だから朝寝ができるということは、官職についていないことを意味します。加えて「風雨」には逆境、「花落」には失望や挫折の意味があるのです。つまり、朝の寝床の中で自分の人生の逆境、失望や挫折を悲しんでいると解するのです。
 都での就職活動をあきらめて帰郷した後の作品と見られ、五言絶句の名作として人口に膾炙しています。
 

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