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ティェンタオの自由訳漢詩 1957

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 盛唐51ー孟浩然
   歳暮帰南山           歳暮 南山に帰る

  北闕休上書     北闕(ほくけつ)  上書(じょうしょ)を休(や)め
  南山帰敝廬     南山(なんざん)  敝廬(へいろ)に帰る
  不才明主棄     不才(ふさい)    明主(めいしゅ)に棄てられ
  多病故人疎     多病(たびょう)  故人(こじん)に疎(うと)んぜらる
  白髪催年老     白髪(はくはつ)  年老(ねんろう)を催(もよお)し
  青陽逼歳除     青陽(せいよう)  歳除(さいじょ)に逼(せま)る
  永懐愁不寐     永懐(えいかい)  愁(うれ)えて寐(い)ねず
  松月夜窓虚     松月(しょうげつ) 夜窓(やそう)虚(むな)し

  ⊂訳⊃
          宮城の北門に  上書することをやめ
          終南山の麓の  あばら家に帰ろう
          無能な私は   明君に認められず
          多病の身は   友人からも疎まれる
          白髪も増えて  老いを感じつつ
          年の瀬に     また来る春を懼れている
          いつまでも    つづく悲しみで眠られず
          夜半の窓辺に  月明りの松を虚しく眺める


 ⊂ものがたり⊃ 開元十六年(728)のころ四十歳くらいになった孟浩然は、再度都に出て科挙に挑みますが及第できませんでした。名士の屋敷などに出入りして二、三年を都で過ごします。王昌齢が進士に及第した翌年のころです。
 詩題の「南山」は長安南郊の終南山でしょう。終南山は隠者の住む地とされ、隠者は世に認められるためのポーズでもありました。「北闕」は朝廷に意見書などを差し出す門で、任官をめざす知識人が詩文の才能を認めてもらうために上書をする習慣がありました。だから、再度上京したけれど科挙に及第できず、長安に滞在していたときの作品と思われます。
 はじめの二句は諦めかけている心境を詠い、中四句ではその状況を詳しく述べます。時期は長安滞在二年目の歳末のようです。そして結びは、落胆して眠られず、月に照らされた松の木を虚しく眺めているだけだと詠います。

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