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ティェンタオの自由訳漢詩 1954

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 盛唐48ー孟浩然
   送朱大入秦        朱大の秦に入るを送る

  遊人五陵去     遊人(ゆうじん)  五陵(ごりょう)へと去(ゆ)く
  宝剣直千金     宝剣(ほうけん)  直(あたい)千金
  分手脱相贈     手を分かつに  脱して相贈(あいおく)る
  平生一片心     平生(へいぜい)  一片(いっぺん)の心

  ⊂訳⊃
          君はこれから  栄華の都へと旅立つ

          この剣は    ちょっとした値打ちものだが

          別れに望んで  餞別としよう

          いつもの俺の  ほんの心のしるしだよ


 ⊂ものがたり⊃ 孟浩然(もうこうねん:689ー740)は襄州襄陽(湖北省襄樊市)の人。開元元年(713)に二十五歳になっていますので、崔国輔や王之渙と同年齢です。王昌齢よりは十歳ほど年長になります。若いころから科挙を目指しますが及第できず、諸方を遊歴したあと郷里の鹿門山(ろくもんざん)に隠棲します。
 詩題の「朱大」(しゅだい)は朱去非(しゅきょひ)という人物という説がありますが不詳です。「入秦」とあるのは唐を秦と言い換えたもので、長安へ行く朱氏を見送る詩です。「五陵」は渭水北岸の漢の陵邑で、貴顕の屋敷が多かったことから栄華の都という語感があります。「一片心」は自分の心使いを謙遜していう語です。
 詩は盛唐のはじめころの五言絶句の風合いを色濃く残しており、若いころの作品でしょう。

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