盛唐46ー常建
題破山寺後禅院 破山寺の後の禅院に題す
清晨入古寺 清晨(せいしん) 古寺に入れば
初日照高林 初日(しょじつ) 高林(こうりん)を照らす
曲径通幽処 曲径(きょくけい) 幽処(ゆうしょ)に通じ
禅房花木深 禅房(ぜんぼう) 花木(かぼく)深し
山光悦鳥性 山光(さんこう)は鳥の性(さが)を悦(よろこ)ばしめ
潭影空人心 潭影(たんえい)は人の心を空(むな)しうす
万籟此都寂 万籟(ばんらい) 此(ここ)に都(すべ)て寂(せき)として
但余鐘馨音 但(た)だ鐘馨(しょうけい)の音を余(あま)すのみ
⊂訳⊃
清らかな朝 古びた寺に入ると
朝の光が 樹々の梢を照らしている
ほそ径は 曲がりながら奥に通じ
禅房の辺り 花咲く木々が生い茂る
山の輝きは 飛びまわる鳥を悦ばせ
澄んだ淵は 人の心を洗い清める
音はすべて ひっそりと謐まりかえり
遠く微かに 鐘馨の音が聞こえるだけ
⊂ものがたり⊃ やがて常建は隠者の生活に憬れるようになり、名山を歩きまわります。晩年は鄂渚(がくしょ:湖北省武漢市の西郊)に隠棲して、自由な生活を送ったと伝えられています。
詩題の「破山寺」(はざんじ)は破山(江蘇省常熟県)にあった興福寺のことで、寺を訪ねたとき、寺の奥の禅院の壁に書きつけた詩です。「山光」は朝日を浴びた明るい山、「潭影」は淵の水が湛えている光、「万籟」はすべての物音です。「鐘馨」は鐘と馨(石板で作った打楽器の一種)のことで、共に寺で用いるものです。
盛唐の世にあって不遇な常建でしたが、この詩には王維の晩年の詩に通じる禅詩の風格があります。宋代の詩人に愛唱され、のちに石碑に刻まれて破山に建てられたと伝えられます。
題破山寺後禅院 破山寺の後の禅院に題す
清晨入古寺 清晨(せいしん) 古寺に入れば
初日照高林 初日(しょじつ) 高林(こうりん)を照らす
曲径通幽処 曲径(きょくけい) 幽処(ゆうしょ)に通じ
禅房花木深 禅房(ぜんぼう) 花木(かぼく)深し
山光悦鳥性 山光(さんこう)は鳥の性(さが)を悦(よろこ)ばしめ
潭影空人心 潭影(たんえい)は人の心を空(むな)しうす
万籟此都寂 万籟(ばんらい) 此(ここ)に都(すべ)て寂(せき)として
但余鐘馨音 但(た)だ鐘馨(しょうけい)の音を余(あま)すのみ
⊂訳⊃
清らかな朝 古びた寺に入ると
朝の光が 樹々の梢を照らしている
ほそ径は 曲がりながら奥に通じ
禅房の辺り 花咲く木々が生い茂る
山の輝きは 飛びまわる鳥を悦ばせ
澄んだ淵は 人の心を洗い清める
音はすべて ひっそりと謐まりかえり
遠く微かに 鐘馨の音が聞こえるだけ
⊂ものがたり⊃ やがて常建は隠者の生活に憬れるようになり、名山を歩きまわります。晩年は鄂渚(がくしょ:湖北省武漢市の西郊)に隠棲して、自由な生活を送ったと伝えられています。
詩題の「破山寺」(はざんじ)は破山(江蘇省常熟県)にあった興福寺のことで、寺を訪ねたとき、寺の奥の禅院の壁に書きつけた詩です。「山光」は朝日を浴びた明るい山、「潭影」は淵の水が湛えている光、「万籟」はすべての物音です。「鐘馨」は鐘と馨(石板で作った打楽器の一種)のことで、共に寺で用いるものです。
盛唐の世にあって不遇な常建でしたが、この詩には王維の晩年の詩に通じる禅詩の風格があります。宋代の詩人に愛唱され、のちに石碑に刻まれて破山に建てられたと伝えられます。