盛唐43ー王昌齢
盧渓別人 盧渓にて人に別る
武陵渓口駐扁舟 武陵(ぶりょう)の渓口(けいこう) 扁舟(へんしゅう)を駐(とど)むれば
渓水随君向北流 渓水(けいすい) 君に随(したが)い 北に向かって流る
行到荊門上三峡 行(ゆ)いて荊門(けいもん)に到り 三峡を上らば
莫将孤月対猿愁 孤月を将(もっ)て猿愁(えんしゅう)に対せしむること莫(な)かれ
⊂訳⊃
武陵渓の出口で 小舟を停めると
川の水は 君といっしょに北へ流れる
やがて荊門 三峡を上れば空に月
猿の鳴き声 同時に見聞きするのは避けたがよい
⊂ものがたり⊃ 詩題の「盧渓」(ろけい)は、「武陵」(湖北省常徳県)のあたりを流れる川。起句の「武陵渓口」は谷川が武陵のあたりで平野にでる出口をいうと見られ、そこに小舟を停めて見送ったときの詩でしょう。
見送られる人(不明)は沅江(げんこう)を経て洞庭湖に入り、長江を西北に遡って「荊門」(湖北省宜都県の西北)に至ります。そこから「三峡」(長江の難所)に向かうことが詩から窺えます。三峡の「孤月」と「猿愁」を同時に見聞きするようなことは避けたがよい、愁いが多過ぎると同情の言葉を送って送別の辞とします。
安禄山の乱が起こったとき無断で故郷に帰ったことから、王昌齢は刺史の閭丘暁(りょきゅうぎょう)と争いになり、殺されたと伝えられています。享年は六十歳くらいでした。
盧渓別人 盧渓にて人に別る
武陵渓口駐扁舟 武陵(ぶりょう)の渓口(けいこう) 扁舟(へんしゅう)を駐(とど)むれば
渓水随君向北流 渓水(けいすい) 君に随(したが)い 北に向かって流る
行到荊門上三峡 行(ゆ)いて荊門(けいもん)に到り 三峡を上らば
莫将孤月対猿愁 孤月を将(もっ)て猿愁(えんしゅう)に対せしむること莫(な)かれ
⊂訳⊃
武陵渓の出口で 小舟を停めると
川の水は 君といっしょに北へ流れる
やがて荊門 三峡を上れば空に月
猿の鳴き声 同時に見聞きするのは避けたがよい
⊂ものがたり⊃ 詩題の「盧渓」(ろけい)は、「武陵」(湖北省常徳県)のあたりを流れる川。起句の「武陵渓口」は谷川が武陵のあたりで平野にでる出口をいうと見られ、そこに小舟を停めて見送ったときの詩でしょう。
見送られる人(不明)は沅江(げんこう)を経て洞庭湖に入り、長江を西北に遡って「荊門」(湖北省宜都県の西北)に至ります。そこから「三峡」(長江の難所)に向かうことが詩から窺えます。三峡の「孤月」と「猿愁」を同時に見聞きするようなことは避けたがよい、愁いが多過ぎると同情の言葉を送って送別の辞とします。
安禄山の乱が起こったとき無断で故郷に帰ったことから、王昌齢は刺史の閭丘暁(りょきゅうぎょう)と争いになり、殺されたと伝えられています。享年は六十歳くらいでした。