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ティェンタオの自由訳漢詩 1949

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 盛唐43ー王昌齢
    盧渓別人             盧渓にて人に別る

  武陵渓口駐扁舟   武陵(ぶりょう)の渓口(けいこう)  扁舟(へんしゅう)を駐(とど)むれば
  渓水随君向北流   渓水(けいすい)  君に随(したが)い  北に向かって流る
  行到荊門上三峡   行(ゆ)いて荊門(けいもん)に到り   三峡を上らば
  莫将孤月対猿愁   孤月を将(もっ)て猿愁(えんしゅう)に対せしむること莫(な)かれ

  ⊂訳⊃
          武陵渓の出口で  小舟を停めると

          川の水は   君といっしょに北へ流れる

          やがて荊門  三峡を上れば空に月

          猿の鳴き声  同時に見聞きするのは避けたがよい


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「盧渓」(ろけい)は、「武陵」(湖北省常徳県)のあたりを流れる川。起句の「武陵渓口」は谷川が武陵のあたりで平野にでる出口をいうと見られ、そこに小舟を停めて見送ったときの詩でしょう。
 見送られる人(不明)は沅江(げんこう)を経て洞庭湖に入り、長江を西北に遡って「荊門」(湖北省宜都県の西北)に至ります。そこから「三峡」(長江の難所)に向かうことが詩から窺えます。三峡の「孤月」と「猿愁」を同時に見聞きするようなことは避けたがよい、愁いが多過ぎると同情の言葉を送って送別の辞とします。
 安禄山の乱が起こったとき無断で故郷に帰ったことから、王昌齢は刺史の閭丘暁(りょきゅうぎょう)と争いになり、殺されたと伝えられています。享年は六十歳くらいでした。

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