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ティェンタオの自由訳漢詩 1948

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 盛唐42ー王昌齢
    送別魏二              魏二を送別す

  酔別江楼橘柚香    酔うて江楼(こうろう)に別れんとすれば  橘柚(きつゆう)香る
  江風引雨入舟涼    江風(こうふう)雨を引き  舟に入って涼し
  憶君遥在湘山月    君を憶(おも)うて   遥かに湘山(しょうざん)の月に在り
  愁聴清猿夢裏長    愁(うれ)えて聴かん  清猿(せいえん)の夢裏(むり)に長きを

  ⊂訳⊃
          川辺の楼で別れ酒   酔えば蜜柑の花が香る

          川風が雨を呼び    舟も涼しくなってきた

          湘山の月に照らされ  遥かに君を想うだろう

          猿の清らかな長嘯を  愁えつつ夢うつつに聴くだろう


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「魏二」(ぎじ)は不詳。魏という名の友人でしょう。起句の「江楼」は転句に「湘山」とあるので、岳陽のあたり、長江に臨む楼でしょう。「橘柚」は蜜柑の類で夏に花が咲きます。承句に「江風雨を引き 舟に入って涼し」とあるので、江楼で宴のあと舟で湖上に出たのでしょう。
 「憶君」を「君を憶う」と読むか、「憶う君は」と読むかによって、湘山の月下にいる者が違ってきます。ここでは「君を憶う」と解しました。つまり「魏二」が旅立ったあと作者が残って、「君を憶う」と未来を想像して詠うのです。江南の夜に鳴く手長猿の声は、哀切であることで有名です。  

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