盛唐42ー王昌齢
送別魏二 魏二を送別す
酔別江楼橘柚香 酔うて江楼(こうろう)に別れんとすれば 橘柚(きつゆう)香る
江風引雨入舟涼 江風(こうふう)雨を引き 舟に入って涼し
憶君遥在湘山月 君を憶(おも)うて 遥かに湘山(しょうざん)の月に在り
愁聴清猿夢裏長 愁(うれ)えて聴かん 清猿(せいえん)の夢裏(むり)に長きを
⊂訳⊃
川辺の楼で別れ酒 酔えば蜜柑の花が香る
川風が雨を呼び 舟も涼しくなってきた
湘山の月に照らされ 遥かに君を想うだろう
猿の清らかな長嘯を 愁えつつ夢うつつに聴くだろう
⊂ものがたり⊃ 詩題の「魏二」(ぎじ)は不詳。魏という名の友人でしょう。起句の「江楼」は転句に「湘山」とあるので、岳陽のあたり、長江に臨む楼でしょう。「橘柚」は蜜柑の類で夏に花が咲きます。承句に「江風雨を引き 舟に入って涼し」とあるので、江楼で宴のあと舟で湖上に出たのでしょう。
「憶君」を「君を憶う」と読むか、「憶う君は」と読むかによって、湘山の月下にいる者が違ってきます。ここでは「君を憶う」と解しました。つまり「魏二」が旅立ったあと作者が残って、「君を憶う」と未来を想像して詠うのです。江南の夜に鳴く手長猿の声は、哀切であることで有名です。
送別魏二 魏二を送別す
酔別江楼橘柚香 酔うて江楼(こうろう)に別れんとすれば 橘柚(きつゆう)香る
江風引雨入舟涼 江風(こうふう)雨を引き 舟に入って涼し
憶君遥在湘山月 君を憶(おも)うて 遥かに湘山(しょうざん)の月に在り
愁聴清猿夢裏長 愁(うれ)えて聴かん 清猿(せいえん)の夢裏(むり)に長きを
⊂訳⊃
川辺の楼で別れ酒 酔えば蜜柑の花が香る
川風が雨を呼び 舟も涼しくなってきた
湘山の月に照らされ 遥かに君を想うだろう
猿の清らかな長嘯を 愁えつつ夢うつつに聴くだろう
⊂ものがたり⊃ 詩題の「魏二」(ぎじ)は不詳。魏という名の友人でしょう。起句の「江楼」は転句に「湘山」とあるので、岳陽のあたり、長江に臨む楼でしょう。「橘柚」は蜜柑の類で夏に花が咲きます。承句に「江風雨を引き 舟に入って涼し」とあるので、江楼で宴のあと舟で湖上に出たのでしょう。
「憶君」を「君を憶う」と読むか、「憶う君は」と読むかによって、湘山の月下にいる者が違ってきます。ここでは「君を憶う」と解しました。つまり「魏二」が旅立ったあと作者が残って、「君を憶う」と未来を想像して詠うのです。江南の夜に鳴く手長猿の声は、哀切であることで有名です。