盛唐39ー王昌齢
芙蓉楼送辛漸 芙蓉楼にて辛漸を送る
寒雨連江夜入呉 寒雨(かんう) 江(こう)に連って 夜 呉(ご)に入る
平明送客楚山孤 平明(へいめい) 客を送れば 楚山(そざん) 孤(こ)なり
洛陽親友如相問 洛陽(らくよう)の親友 如(も)し相問(あいと)わば
一片冰心在玉壺 一片の冰心(ひょうしん) 玉壺(ぎょくこ)に在りと
⊂訳⊃
冷たい雨が夜半には 江から呉へと降ってきた
明け方君を見送ると 楚山がぽつんと見えている
洛陽の友が尋ねたら 心があると伝えてくれ
氷のような清らかさ 玉壺のうちに満ちていると
⊂ものがたり⊃ 王昌齢は七言絶句にすぐれ、閨怨詩・辺塞詩・離別詩など広い分野に作品を残しています。しかし、官歴はよく分かっていません。流入(官職に就くこと)して校書郎になりますが、罪を得て嶺南に流されます。赦されて都にもどりますが、争いがもとでまた江寧(江蘇省南京市)の県丞(県令とする説もある)に出されました。
詩題の「芙蓉楼」(ふようろう)は閏州(江蘇省鎮江市)にあった城楼で、北に長江を見おろす景勝地でした。「辛漸」(しんぜん)は友人と思われますが、伝は不明です。王昌齢が江寧に左遷されていたとき、都へ帰る辛漸を閏州まで見送ったときの作品でしょう。
起句「寒雨 江に連って 夜 呉に入る」については諸説がありますが、ここでは日暮れに江上で降っていた冬の雨が夜になって「呉」(閏州の方)に降って来たと解します。「楚山」は長江対岸の山、江南で孤独に暮らしている自分を楚山に喩えるのでしょう。
後半、伝言を述べますが、詩そのものが伝言です。結句の「一片」は広がっていること、「冰心」は氷のように清らかな心を意味し、南朝宋の詩人鮑照(ほうしょう)の詩句に「清きこと玉壺の氷の如し」とあるのを踏まえています。
芙蓉楼送辛漸 芙蓉楼にて辛漸を送る
寒雨連江夜入呉 寒雨(かんう) 江(こう)に連って 夜 呉(ご)に入る
平明送客楚山孤 平明(へいめい) 客を送れば 楚山(そざん) 孤(こ)なり
洛陽親友如相問 洛陽(らくよう)の親友 如(も)し相問(あいと)わば
一片冰心在玉壺 一片の冰心(ひょうしん) 玉壺(ぎょくこ)に在りと
⊂訳⊃
冷たい雨が夜半には 江から呉へと降ってきた
明け方君を見送ると 楚山がぽつんと見えている
洛陽の友が尋ねたら 心があると伝えてくれ
氷のような清らかさ 玉壺のうちに満ちていると
⊂ものがたり⊃ 王昌齢は七言絶句にすぐれ、閨怨詩・辺塞詩・離別詩など広い分野に作品を残しています。しかし、官歴はよく分かっていません。流入(官職に就くこと)して校書郎になりますが、罪を得て嶺南に流されます。赦されて都にもどりますが、争いがもとでまた江寧(江蘇省南京市)の県丞(県令とする説もある)に出されました。
詩題の「芙蓉楼」(ふようろう)は閏州(江蘇省鎮江市)にあった城楼で、北に長江を見おろす景勝地でした。「辛漸」(しんぜん)は友人と思われますが、伝は不明です。王昌齢が江寧に左遷されていたとき、都へ帰る辛漸を閏州まで見送ったときの作品でしょう。
起句「寒雨 江に連って 夜 呉に入る」については諸説がありますが、ここでは日暮れに江上で降っていた冬の雨が夜になって「呉」(閏州の方)に降って来たと解します。「楚山」は長江対岸の山、江南で孤独に暮らしている自分を楚山に喩えるのでしょう。
後半、伝言を述べますが、詩そのものが伝言です。結句の「一片」は広がっていること、「冰心」は氷のように清らかな心を意味し、南朝宋の詩人鮑照(ほうしょう)の詩句に「清きこと玉壺の氷の如し」とあるのを踏まえています。