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ティェンタオの自由訳漢詩 1945

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 盛唐39ー王昌齢
   芙蓉楼送辛漸         芙蓉楼にて辛漸を送る

  寒雨連江夜入呉   寒雨(かんう)   江(こう)に連って  夜  呉(ご)に入る
  平明送客楚山孤   平明(へいめい) 客を送れば  楚山(そざん)  孤(こ)なり
  洛陽親友如相問   洛陽(らくよう)の親友   如(も)し相問(あいと)わば
  一片冰心在玉壺   一片の冰心(ひょうしん)  玉壺(ぎょくこ)に在りと

  ⊂訳⊃
          冷たい雨が夜半には  江から呉へと降ってきた

          明け方君を見送ると  楚山がぽつんと見えている

          洛陽の友が尋ねたら  心があると伝えてくれ

          氷のような清らかさ   玉壺のうちに満ちていると


 ⊂ものがたり⊃ 王昌齢は七言絶句にすぐれ、閨怨詩・辺塞詩・離別詩など広い分野に作品を残しています。しかし、官歴はよく分かっていません。流入(官職に就くこと)して校書郎になりますが、罪を得て嶺南に流されます。赦されて都にもどりますが、争いがもとでまた江寧(江蘇省南京市)の県丞(県令とする説もある)に出されました。
 詩題の「芙蓉楼」(ふようろう)は閏州(江蘇省鎮江市)にあった城楼で、北に長江を見おろす景勝地でした。「辛漸」(しんぜん)は友人と思われますが、伝は不明です。王昌齢が江寧に左遷されていたとき、都へ帰る辛漸を閏州まで見送ったときの作品でしょう。
 起句「寒雨 江に連って 夜 呉に入る」については諸説がありますが、ここでは日暮れに江上で降っていた冬の雨が夜になって「呉」(閏州の方)に降って来たと解します。「楚山」は長江対岸の山、江南で孤独に暮らしている自分を楚山に喩えるのでしょう。
 後半、伝言を述べますが、詩そのものが伝言です。結句の「一片」は広がっていること、「冰心」は氷のように清らかな心を意味し、南朝宋の詩人鮑照(ほうしょう)の詩句に「清きこと玉壺の氷の如し」とあるのを踏まえています。   

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