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ティェンタオの自由訳漢詩 1938

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 盛唐32ー王昌齢
    西宮春怨              西宮春怨

  西宮夜静百花香   西宮(せいきゅう)  夜静かにして百花(ひゃくか)香(かんば)し
  欲捲珠簾春恨長   珠簾(しゅれん)を捲(ま)かんと欲して春恨(しゅんこん)長し
  斜抱雲和深見月   斜めに雲和(うんか)を抱(いだ)いて  深く月を見れば
  朦朧樹色隠昭陽   朦朧(もうろう)たる樹色  昭陽(しょうよう)を隠す

  ⊂訳⊃
          長信宮の夜は静かで 花々の香りがただよう

          簾を捲こうとするが   春の歎きは深くて重い

          琵琶を斜めに抱えて  遠くの月を眺めると

          朧にみえる樹々の影  昭陽殿は見る由もない


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「西宮」は漢の長信宮の別名で、成帝の寵妃であった班嫜?(はんしょうよ)が住んでいました。詩の前半では帝の寵愛を趙飛燕(ちょうひえん)・趙昭儀(ちょうしょうぎ)姉妹に奪われた班嫜?の歎きを詠います。
 後半の「雲和」は山の名で、その山の木で作った琵琶は名器とされていました。気を紛らそうとして琵琶を抱えてみますが、気になるのは未央宮の「昭陽」殿です。そこには趙姉妹が住んでいて、今夜も成帝のお成りがあると思われます。しかし、樹々に隠れて宮殿を見ることはできません。 

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