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ティェンタオの自由訳漢詩 1937

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 盛唐31ー王昌齢
     閨怨                閨怨

  閨中少婦不知愁   閨中(けいちゅう)の少婦(しょうふ)  愁(うれ)いを知らず
  春日凝粧上翠楼   春日(しゅんじつ)   粧(よそお)いを凝(こ)らして翠楼(すいろう)に上る
  忽見陌頭楊柳色   忽ち陌頭(はくとう)  楊柳(ようりゅう)の色を見て
  悔教夫婿覓封侯   悔(く)ゆらくは夫婿(ふせい)をして封侯(ほうこう)を覓(もと)め教(し)めしを

  ⊂訳⊃
          閨の若妻は   この世の悲しみを知らない

          春の日に    化粧を凝らして翠楼に上る

          すると路傍で  風に揺れている楊柳が目に止まり

          出世のために  戦に出した夫を後悔する


 ⊂ものがたり⊃ 王昌齢(おうしょうれい:698ー757?)は京兆長安(陝西省西安市)の人。また江寧(江蘇省南京市)の人ともいいます。開元十五年(727)、盛唐の真っ盛りに三十歳で進士に及第します。
 掲げる詩の詩題は「閨怨」(けいえん)とありますが、いわゆる閨怨詩とは異なる社会性があります。「閨中」は女性の部屋。「翠楼」は青く塗った楼で、貴門の邸でしょう。春の日に化粧をして屈託もなく二階に上ると、風に揺れる路傍の柳が見えました。そこで初めて、出世のために戦場に出した夫のことが心配になると女心を詠います。

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