盛唐30ー王之渙
涼州詞 涼州の詞
黄河遠上白雲間 黄河(こうが) 遠く上(のぼ)る 白雲の間(かん)
一片孤城万仭山 一片の孤城 万仭(ばんじん)の山
羌笛何須怨楊柳 羌笛(きょうてき) 何ぞ須(もち)いん 楊柳を怨(うら)むるを
春光不度玉門関 春光(しゅんこう) 度(わた)らず 玉門関(ぎょくもんかん)
⊂訳⊃
黄河を遡って 遥かに白雲の棚引くあたり
横たわる孤城 高い山が取りかこむ
羌笛よ なぜ悲しげに「楊柳」の曲を吹くのか
玉門関には 春の陽ざしもとどかないのに
⊂ものがたり⊃ 「涼州詞」は楽府題。当時流行の詩題でした。前半二句は西方への旅の描写です。緊密に構成された映像、視覚的に典型化された詩句が凝縮されています。「一片」(いっぺん)はひとかけらではなく、一面に横に広がる形容です。
後半では胡族の笛「羌笛」を出し、「羌笛 何ぞ須いん 楊柳を怨むるを」と詠います。「楊柳」(ようりゅう)は春に芽吹く木、都を思い出す木です。砂漠地帯の「玉門関」に楊柳は生えておらず、春の陽ざしも届きません。そんな西の果てで「楊柳」の曲を吹いても、ただ悲しいだけじゃないかと知的に凝った抒情で結びます。
涼州詞 涼州の詞
黄河遠上白雲間 黄河(こうが) 遠く上(のぼ)る 白雲の間(かん)
一片孤城万仭山 一片の孤城 万仭(ばんじん)の山
羌笛何須怨楊柳 羌笛(きょうてき) 何ぞ須(もち)いん 楊柳を怨(うら)むるを
春光不度玉門関 春光(しゅんこう) 度(わた)らず 玉門関(ぎょくもんかん)
⊂訳⊃
黄河を遡って 遥かに白雲の棚引くあたり
横たわる孤城 高い山が取りかこむ
羌笛よ なぜ悲しげに「楊柳」の曲を吹くのか
玉門関には 春の陽ざしもとどかないのに
⊂ものがたり⊃ 「涼州詞」は楽府題。当時流行の詩題でした。前半二句は西方への旅の描写です。緊密に構成された映像、視覚的に典型化された詩句が凝縮されています。「一片」(いっぺん)はひとかけらではなく、一面に横に広がる形容です。
後半では胡族の笛「羌笛」を出し、「羌笛 何ぞ須いん 楊柳を怨むるを」と詠います。「楊柳」(ようりゅう)は春に芽吹く木、都を思い出す木です。砂漠地帯の「玉門関」に楊柳は生えておらず、春の陽ざしも届きません。そんな西の果てで「楊柳」の曲を吹いても、ただ悲しいだけじゃないかと知的に凝った抒情で結びます。