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ティェンタオの自由訳漢詩 1936

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 盛唐30ー王之渙
    涼州詞              涼州の詞

  黄河遠上白雲間   黄河(こうが)  遠く上(のぼ)る  白雲の間(かん)
  一片孤城万仭山   一片の孤城  万仭(ばんじん)の山
  羌笛何須怨楊柳   羌笛(きょうてき)  何ぞ須(もち)いん  楊柳を怨(うら)むるを
  春光不度玉門関   春光(しゅんこう)  度(わた)らず  玉門関(ぎょくもんかん)

  ⊂訳⊃
          黄河を遡って  遥かに白雲の棚引くあたり

          横たわる孤城  高い山が取りかこむ

          羌笛よ      なぜ悲しげに「楊柳」の曲を吹くのか

          玉門関には   春の陽ざしもとどかないのに


 ⊂ものがたり⊃ 「涼州詞」は楽府題。当時流行の詩題でした。前半二句は西方への旅の描写です。緊密に構成された映像、視覚的に典型化された詩句が凝縮されています。「一片」(いっぺん)はひとかけらではなく、一面に横に広がる形容です。
 後半では胡族の笛「羌笛」を出し、「羌笛 何ぞ須いん 楊柳を怨むるを」と詠います。「楊柳」(ようりゅう)は春に芽吹く木、都を思い出す木です。砂漠地帯の「玉門関」に楊柳は生えておらず、春の陽ざしも届きません。そんな西の果てで「楊柳」の曲を吹いても、ただ悲しいだけじゃないかと知的に凝った抒情で結びます。

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