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ティェンタオの自由訳漢詩 1935

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 盛唐29ー王之渙
   登鸛鵲楼           鸛鵲楼に登る

  白日依山尽     白日(はくじつ)  山に依(よ)って尽(つ)き
  黄河入海流     黄河(こうが)   海に入(い)って流る
  欲窮千里目     千里の目を窮(きわ)めんと欲して
  更上一層楼     更に上(のぼ)る  一層の楼

  ⊂訳⊃
          輝く太陽は  山肌に寄り添うように消えていく

          黄河の水は  海へ向かって何処までも流れる

          この広大な眺めを見きわめたくて

          さらに一階  高楼の階を上る


 ⊂ものがたり⊃ 王之渙(おうしかん:688ー742)は幷州晋陽(山西省太原市)の人。絳郡(山西省新絳県)の人ともいいます。玄宗の封禅の翌年、開元十四年(726)に三十九歳ですので、崔国輔と同世代です。
 科挙に及第せず、経歴は定かでありませんが、作品に浮かれたとろがなく高い精神性が認められます。開元年間に冀州衡水県(河北省)の主簿になりましたが、他人とうまくいかず、辞職して十五年間無官で過ごします。晩年に文安県(河南省)の尉になり、天宝元年(742)に亡くなりました。享年は五十五歳です。
 詩題の「鸛鵲楼」(かんじゃくろう)は蒲州(山西省永清県)の西、黄河の中洲にあった河中府城の三層楼です。楼は城壁の西南隅に建っていて、眼下に黄河が南流しています。詩は前二句と後二句がそれぞれ対句になっており、前半は眼前の広大な眺めを「白日」と「黄河」の動きによって描きます。単に景色を描くのではなく、想像を加えて自然を観念に高めていることに注目してください。
 後半では眺めに触発された感動を「更に上る 一層の楼」と自分の行動で示しています。そこには詩人としての志も込められていると読むべきでしょう。この詩は唐代五言絶句の秀作として高い評価を得ており、王之渙の代表作です。 

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