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ティェンタオの自由訳漢詩 2175

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 晩唐46ー韓偓
     野塘                 野塘

  侵暁乗涼偶独来   暁(あかつき)を侵(おか)し  涼(りょう)に乗じて偶々(たまたま)独り来たる
  不因魚躍見萍開   魚(うお)の躍(おど)るに因(よ)らずして  萍(ひょう)の開くを見る
  捲荷忽被微風触   捲荷(けんか)   忽(たちま)ち微風(びふう)の触るるを被(こうむ)り
  瀉下清香露一杯   瀉(そそ)ぎ下す  清香(せいこう)の  露一杯(つゆいっぱい)

  ⊂訳⊃
          明け方の涼しさに誘われて  たまたま一人でやってきた

          魚が跳ねたのでもないのに  浮草が動いて水面が顔をだす

          朝の風がかすかに吹くと   蓮の花がゆれ

          爽やかな香りといっしょに   朝露がころげ落ちる


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「野塘」(やとう)は野の堤です。朝の散歩の途中、野原の池の堤で偶然目にした光景を詠います。「萍」は浮草。浮草が一面に池を覆っていて、なにかの拍子で動き水面が顔を出しました。「捲荷」は蓮の葉のくるっと捲いたもの、その葉がそよ風に揺れて葉の上の朝露がこぼれ落ちます。
 きわめて細やかな描写であり、すべてを棄てたあとの静謐な心境を反映するものでしょう。韓偓は朱全忠によって濮州司馬に左遷された翌年、昭宗の天復四年(904)に職を辞したあと、死ぬまでの十九年間、庶士として過ごしました。官職に右顧左眄することのない晩年であり、晩唐の最後を飾るのにふさわし詩人であると思います。

     ☆ 本日をもって晩唐を終了します。次回は4月21日(火)から
       「北宋の詩人たち」をはじめます。
        なお、厖大なブログのため、ローカルディスク(C:)の
       空き領域がわずかになり、ブログの一部を削除して空き
       領域を拡大しないとつづけられません。すでに、
          ・漢詩を楽しもう (1ー130) は削除しています。
        北宋をはじめる前に、魏晋と南北朝を削除しますので、
       ご了承ください。
          ・魏晋   (1568ー1638)
          ・南北朝 (1800ー1860)

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