晩唐46ー韓偓
野塘 野塘
侵暁乗涼偶独来 暁(あかつき)を侵(おか)し 涼(りょう)に乗じて偶々(たまたま)独り来たる
不因魚躍見萍開 魚(うお)の躍(おど)るに因(よ)らずして 萍(ひょう)の開くを見る
捲荷忽被微風触 捲荷(けんか) 忽(たちま)ち微風(びふう)の触るるを被(こうむ)り
瀉下清香露一杯 瀉(そそ)ぎ下す 清香(せいこう)の 露一杯(つゆいっぱい)
⊂訳⊃
明け方の涼しさに誘われて たまたま一人でやってきた
魚が跳ねたのでもないのに 浮草が動いて水面が顔をだす
朝の風がかすかに吹くと 蓮の花がゆれ
爽やかな香りといっしょに 朝露がころげ落ちる
⊂ものがたり⊃ 詩題の「野塘」(やとう)は野の堤です。朝の散歩の途中、野原の池の堤で偶然目にした光景を詠います。「萍」は浮草。浮草が一面に池を覆っていて、なにかの拍子で動き水面が顔を出しました。「捲荷」は蓮の葉のくるっと捲いたもの、その葉がそよ風に揺れて葉の上の朝露がこぼれ落ちます。
きわめて細やかな描写であり、すべてを棄てたあとの静謐な心境を反映するものでしょう。韓偓は朱全忠によって濮州司馬に左遷された翌年、昭宗の天復四年(904)に職を辞したあと、死ぬまでの十九年間、庶士として過ごしました。官職に右顧左眄することのない晩年であり、晩唐の最後を飾るのにふさわし詩人であると思います。
☆ 本日をもって晩唐を終了します。次回は4月21日(火)から
「北宋の詩人たち」をはじめます。
なお、厖大なブログのため、ローカルディスク(C:)の
空き領域がわずかになり、ブログの一部を削除して空き
領域を拡大しないとつづけられません。すでに、
・漢詩を楽しもう (1ー130) は削除しています。
北宋をはじめる前に、魏晋と南北朝を削除しますので、
ご了承ください。
・魏晋 (1568ー1638)
・南北朝 (1800ー1860)
野塘 野塘
侵暁乗涼偶独来 暁(あかつき)を侵(おか)し 涼(りょう)に乗じて偶々(たまたま)独り来たる
不因魚躍見萍開 魚(うお)の躍(おど)るに因(よ)らずして 萍(ひょう)の開くを見る
捲荷忽被微風触 捲荷(けんか) 忽(たちま)ち微風(びふう)の触るるを被(こうむ)り
瀉下清香露一杯 瀉(そそ)ぎ下す 清香(せいこう)の 露一杯(つゆいっぱい)
⊂訳⊃
明け方の涼しさに誘われて たまたま一人でやってきた
魚が跳ねたのでもないのに 浮草が動いて水面が顔をだす
朝の風がかすかに吹くと 蓮の花がゆれ
爽やかな香りといっしょに 朝露がころげ落ちる
⊂ものがたり⊃ 詩題の「野塘」(やとう)は野の堤です。朝の散歩の途中、野原の池の堤で偶然目にした光景を詠います。「萍」は浮草。浮草が一面に池を覆っていて、なにかの拍子で動き水面が顔を出しました。「捲荷」は蓮の葉のくるっと捲いたもの、その葉がそよ風に揺れて葉の上の朝露がこぼれ落ちます。
きわめて細やかな描写であり、すべてを棄てたあとの静謐な心境を反映するものでしょう。韓偓は朱全忠によって濮州司馬に左遷された翌年、昭宗の天復四年(904)に職を辞したあと、死ぬまでの十九年間、庶士として過ごしました。官職に右顧左眄することのない晩年であり、晩唐の最後を飾るのにふさわし詩人であると思います。
☆ 本日をもって晩唐を終了します。次回は4月21日(火)から
「北宋の詩人たち」をはじめます。
なお、厖大なブログのため、ローカルディスク(C:)の
空き領域がわずかになり、ブログの一部を削除して空き
領域を拡大しないとつづけられません。すでに、
・漢詩を楽しもう (1ー130) は削除しています。
北宋をはじめる前に、魏晋と南北朝を削除しますので、
ご了承ください。
・魏晋 (1568ー1638)
・南北朝 (1800ー1860)