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ティェンタオの自由訳漢詩 2129

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 中唐126ー劉禹錫
   浪淘沙九首 其八       浪淘沙 九首  其の八

  莫道讒言如浪深   道(い)う莫(なか)れ  讒言(ざんげん)は浪の如く深しと
  莫言遷客似沙沈   言(い)う莫(なか)れ  遷客(せんきゃく)は沙(すな)に似て沈むと
  千淘万漉雖辛苦   千淘(せんとう)万漉(ばんろく)  辛苦(しんく)なりと雖(いえど)も
  吹尽狂沙始到金   狂沙(きょうさ)を吹き尽くして始めて金に到る

  ⊂訳⊃
          讒言は   浪のように深いと言わないでくれ

          逐臣は   砂のように川底に沈むと言わないでくれ

          幾たびも  選別されるのは辛いことだが

          悪い砂を吹き払ってこそ  金になる


 ⊂ものがたり⊃ 江南の刺史をつとめたあげた劉禹錫は、文宗の開成三年(838)に太子賓客になって洛陽に分司します。当時、白居易も洛陽に隠居していましたので、いっそう親密に行き来します。
 この詞も「浪淘沙」(ろうとうさ)という曲があって、その曲に基づく替え歌です。題は「浪が砂を選り分ける」という意味で、西域伝来の曲といいます。前半と後半は関連があり、全体として教訓の詩になっています。かつての貶謫のつらい体験も、ここでは「千淘万漉」、水中の砂から砂金を選り分ける作業として客観視され、プラス思考に転化しています。そんなところが、劉禹錫の精神の強さを示しています。
 劉禹錫は徳宗・順宗・憲宗・穆宗・敬宗・文宗・武宗、七代の天子に仕え、長命でした。武宗の会昌元年(841)に検校礼部尚書に叙せられ、翌会昌二年(842)に洛陽で亡くなります。享年七十一歳です。
 若いころは柳宗元とともに貶謫の憂き目をみましたが、それを乗り越えて生き抜いたのは、柳宗元が知的であったのに対して、劉禹錫は精神力に勝れていたからでしょう。韓愈と柳宗元が古文に業績を残したのに対して、劉禹錫は白居易とならんで中唐の代表的詩人といえます。

     ☆ 本日をもって中唐をおわります。次回は一月二十日(火)から
        「晩唐の詩人たち」を掲載します。
         なお、掲載日は毎週 火・水・土・日 の四回としますので、
        ご了承ください。

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