Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2003

$
0
0
 盛唐97ー高適
   塞上聞吹笛          塞上にて笛を吹くを聞く

  雪浄胡天牧馬還   雪浄(きよ)し   胡天(こてん)    馬を牧(ぼく)して還(かえ)れば
  月明羌笛戍楼?   月は明らかに  羌笛(きようてき)  戍楼(じゅろう)?(しず)かなり
  借問梅花何処落   借問(しゃもん)す  梅花  何(いず)れの処(ところ)よりか落つる
  風吹一夜満関山   風吹いて  一夜  関山(かんざん)に満つ

  ⊂訳⊃
          清らかな雪景色  胡地の空  牧場から馬がもどれば

          月明かりの砦に  羌笛の音は流れて静かである

          はて  何処から来たのか  梅の花  梅花落の曲は

          風に吹かれて一夜の間に  国境の山に満ちている


 ⊂ものがたり⊃ この詩も高適が哥舒翰の幕下にいたときの作とみられます。前半二句は胡地の塞の静かな夕暮れを詠います。馬を牧して還って来たのは住民でしょう。夜になって月明かりの「戍楼」に羌笛の音が流れます。
 後半の二句は感慨を詠うもので、「梅花」は落梅の花びらに「梅花落」(ばいからく)の曲を重ねています。一夜のあいだに「関山に満つ」のは梅の花びらではなく、「梅花落」の曲によってひき起こされた望郷の思いでしょう。辺塞詩の秀作のひとつです。
 安禄山の乱が起きると、高適は哥舒翰の軍とともに粛宗の旗下に参じ、一軍を与えられて江南に派遣され、軍功を立てます 乱後、侍御史に任ぜられ諌議大夫に昇進しますが、左遷されて蜀州ついで彭州(四川省彭県)の刺史になります。そのころ成都に移って来ていた杜甫の生活を援助しました。
 やがて赦されて西川節度使になり、晩年には刑部侍郎、散騎常侍に至り、永泰元年(756)に亡くなりました。享年は六十五歳ほどです。

       ※ 本日で「盛唐」をおわります。次回は、
          7月19日(土)から、「中唐」を始めます。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>