盛唐97ー高適
塞上聞吹笛 塞上にて笛を吹くを聞く
雪浄胡天牧馬還 雪浄(きよ)し 胡天(こてん) 馬を牧(ぼく)して還(かえ)れば
月明羌笛戍楼? 月は明らかに 羌笛(きようてき) 戍楼(じゅろう)?(しず)かなり
借問梅花何処落 借問(しゃもん)す 梅花 何(いず)れの処(ところ)よりか落つる
風吹一夜満関山 風吹いて 一夜 関山(かんざん)に満つ
⊂訳⊃
清らかな雪景色 胡地の空 牧場から馬がもどれば
月明かりの砦に 羌笛の音は流れて静かである
はて 何処から来たのか 梅の花 梅花落の曲は
風に吹かれて一夜の間に 国境の山に満ちている
⊂ものがたり⊃ この詩も高適が哥舒翰の幕下にいたときの作とみられます。前半二句は胡地の塞の静かな夕暮れを詠います。馬を牧して還って来たのは住民でしょう。夜になって月明かりの「戍楼」に羌笛の音が流れます。
後半の二句は感慨を詠うもので、「梅花」は落梅の花びらに「梅花落」(ばいからく)の曲を重ねています。一夜のあいだに「関山に満つ」のは梅の花びらではなく、「梅花落」の曲によってひき起こされた望郷の思いでしょう。辺塞詩の秀作のひとつです。
安禄山の乱が起きると、高適は哥舒翰の軍とともに粛宗の旗下に参じ、一軍を与えられて江南に派遣され、軍功を立てます 乱後、侍御史に任ぜられ諌議大夫に昇進しますが、左遷されて蜀州ついで彭州(四川省彭県)の刺史になります。そのころ成都に移って来ていた杜甫の生活を援助しました。
やがて赦されて西川節度使になり、晩年には刑部侍郎、散騎常侍に至り、永泰元年(756)に亡くなりました。享年は六十五歳ほどです。
※ 本日で「盛唐」をおわります。次回は、
7月19日(土)から、「中唐」を始めます。
塞上聞吹笛 塞上にて笛を吹くを聞く
雪浄胡天牧馬還 雪浄(きよ)し 胡天(こてん) 馬を牧(ぼく)して還(かえ)れば
月明羌笛戍楼? 月は明らかに 羌笛(きようてき) 戍楼(じゅろう)?(しず)かなり
借問梅花何処落 借問(しゃもん)す 梅花 何(いず)れの処(ところ)よりか落つる
風吹一夜満関山 風吹いて 一夜 関山(かんざん)に満つ
⊂訳⊃
清らかな雪景色 胡地の空 牧場から馬がもどれば
月明かりの砦に 羌笛の音は流れて静かである
はて 何処から来たのか 梅の花 梅花落の曲は
風に吹かれて一夜の間に 国境の山に満ちている
⊂ものがたり⊃ この詩も高適が哥舒翰の幕下にいたときの作とみられます。前半二句は胡地の塞の静かな夕暮れを詠います。馬を牧して還って来たのは住民でしょう。夜になって月明かりの「戍楼」に羌笛の音が流れます。
後半の二句は感慨を詠うもので、「梅花」は落梅の花びらに「梅花落」(ばいからく)の曲を重ねています。一夜のあいだに「関山に満つ」のは梅の花びらではなく、「梅花落」の曲によってひき起こされた望郷の思いでしょう。辺塞詩の秀作のひとつです。
安禄山の乱が起きると、高適は哥舒翰の軍とともに粛宗の旗下に参じ、一軍を与えられて江南に派遣され、軍功を立てます 乱後、侍御史に任ぜられ諌議大夫に昇進しますが、左遷されて蜀州ついで彭州(四川省彭県)の刺史になります。そのころ成都に移って来ていた杜甫の生活を援助しました。
やがて赦されて西川節度使になり、晩年には刑部侍郎、散騎常侍に至り、永泰元年(756)に亡くなりました。享年は六十五歳ほどです。
※ 本日で「盛唐」をおわります。次回は、
7月19日(土)から、「中唐」を始めます。