晩唐43ー韓偓
曲江秋日 曲江秋日
斜煙縷縷鷺鷥棲 斜煙(しゃえん)縷縷(るる)として 鷺鷥(ろし)棲(す)み
藕葉枯香折野泥 藕葉(ぐうよう)香(こう)を枯らして 野泥(やでい)に折(お)る
有箇高僧入図画 箇(こ)の高僧(こうそう)有りて 図画(とが)に入り
把経吟立水塘西 経(きょう)を把(と)りて吟じ立つ 水塘(すいとう)の西
⊂訳⊃
煙は細く斜めに伸び 白鷺が棲んでいる
蓮の葉は枯れ 泥土の上で折れ曲がる
溜池の西に 高僧が立って経巻を読む
まるで一幅の 絵画のなかにいるように
⊂ものがたり⊃ 若いころ艷詩に興じた韓偓も、時代の激変に遭って変わらざるをえません。詩は滅びゆく唐の栄華の跡を詠い、寂しさに満ちかつ美しいものに一転します。
詩題の「曲江」(きょくこう)は唐の華やかな時代の象徴です。秋の一日、曲江を訪ねると、農家の炊煙が細くたなびき、あたりは鷺の棲みかになっていました。曲江の池の蓮も枯れて、泥土のうえで折れ曲がっています。
鄙びた「水塘」(溜池)の西の堤で、吟じるような声で経典を読んでいる僧がいました。その姿はまるで絵画のなかにいるように、あたりの寂しい風景にとけ込んでいました。曲江はもはや華やかな遊宴の場ではなくなっていました。
曲江秋日 曲江秋日
斜煙縷縷鷺鷥棲 斜煙(しゃえん)縷縷(るる)として 鷺鷥(ろし)棲(す)み
藕葉枯香折野泥 藕葉(ぐうよう)香(こう)を枯らして 野泥(やでい)に折(お)る
有箇高僧入図画 箇(こ)の高僧(こうそう)有りて 図画(とが)に入り
把経吟立水塘西 経(きょう)を把(と)りて吟じ立つ 水塘(すいとう)の西
⊂訳⊃
煙は細く斜めに伸び 白鷺が棲んでいる
蓮の葉は枯れ 泥土の上で折れ曲がる
溜池の西に 高僧が立って経巻を読む
まるで一幅の 絵画のなかにいるように
⊂ものがたり⊃ 若いころ艷詩に興じた韓偓も、時代の激変に遭って変わらざるをえません。詩は滅びゆく唐の栄華の跡を詠い、寂しさに満ちかつ美しいものに一転します。
詩題の「曲江」(きょくこう)は唐の華やかな時代の象徴です。秋の一日、曲江を訪ねると、農家の炊煙が細くたなびき、あたりは鷺の棲みかになっていました。曲江の池の蓮も枯れて、泥土のうえで折れ曲がっています。
鄙びた「水塘」(溜池)の西の堤で、吟じるような声で経典を読んでいる僧がいました。その姿はまるで絵画のなかにいるように、あたりの寂しい風景にとけ込んでいました。曲江はもはや華やかな遊宴の場ではなくなっていました。