Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 1915

$
0
0
 盛唐9ー張説
    送梁六             梁六を送る

  巴陵一望洞庭秋   巴陵(はりょう)一望す  洞庭(どうてい)の秋
  日見孤峰水上浮   日々(ひび)に見る 孤峰(こほう)の水上に浮ぶを
  聞道神仙不可接   聞道(きくなら)く   神仙(しんせん)は接す可(べ)からずと
  心随湖水共悠悠   心は湖水に随って共に悠悠(ゆうゆう)たり

  ⊂訳⊃
          巴陵の山に立って  洞庭湖を一望すれば

          湖上に浮ぶ君山が  いつもこの目に飛び込んでくる

          聞けば人と神仙は  交われないというではないか

          君を思う私の心は  湖水のように果てしないのに


 ⊂ものがたり⊃ 神龍元年の政変で都に呼びもどされた張説は、兵部員外郎(従六品上)になり、中宗期に多くの応制の詩を作ります。睿宗復位後は同中書門下平章事(宰相)に任じられ、玄宗の初政には中書令(正三品)になっていました。
 開元の初政に玄宗を補佐した宰相は姚崇(ようすう)と宋?(そうけい)が有名ですが、張説は睿宗復位のころから二人と競い合う地位にいました。開元になって張説は姚崇との政争に敗れ、相州(河南省安陽県)刺史ついで岳州(湖南省岳陽市)刺史に左遷されます。
 詩題の「梁六」は潭州(湖南省長沙市)刺史であった梁知微(りょうちび)ではないかとされており、刺史を辞任後に君山(洞庭湖中にある島)に住んでいたのでしょう。張説は訪ねて来た「梁六」を見送り、洞庭湖の景色に託して友情を述べます。
 張説が岳州刺史のときの作品で、「巴陵」は洞庭湖東北岸の郡名で、岳州の旧名です。君山には洞庭湖の女神が棲んでいるという伝説があり、君山に隠棲している「梁六」に隠棲などやめて世間に出て来いと言っている詩でしょう。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>