中唐89ー柳宗元
詔追赴都二月 詔して追われ都に赴く
至灞亭上 二月灞亭の上に至る
十一年前南渡客 十一年前(ぜん) 南渡(なんと)の客
四千里外北帰人 四千里外(がい) 北帰(ほっき)の人
詔書許逐陽和至 詔書は陽和(ようわ)を逐(お)いて至るを許す
駅路開花処処新 駅路(えきろ) 花開(ひら)きて処処(しょしょ)新たなり
⊂訳⊃
十一年前は 南へゆく旅人だった
四千里の彼方から いまは北へ帰る人
麗らかな春を追って 都にもどることをお許しになり
宿駅の路に花は咲き どこもかしこも目新しい
⊂ものがたり⊃ 柳宗元は北還を急ぎ、洞庭湖から長江をへて漢水を遡り、陸路、武関(陝西省丹鳳県の東南)を通って秦原(関中盆地)に入ります。詩題の「灞亭」(はてい)は灞水のほとりの駅亭で、一月に永州を発った柳宗元は二月に灞上に着いています。
長安は目の前です。十一年前、南へ追放された身を思えば夢のようです。「陽和」は麗らかな春の陽ざしで、南から北へ移る春を追って都にもどってきました。宿駅の路のほとりに咲いている花も、はじめて見るように新鮮です。
北還の詩はいずれも七言絶句で、韻律も滑らかに都へ帰る喜びを伝えています。だが、待っていた運命は苛酷でした。
詔追赴都二月 詔して追われ都に赴く
至灞亭上 二月灞亭の上に至る
十一年前南渡客 十一年前(ぜん) 南渡(なんと)の客
四千里外北帰人 四千里外(がい) 北帰(ほっき)の人
詔書許逐陽和至 詔書は陽和(ようわ)を逐(お)いて至るを許す
駅路開花処処新 駅路(えきろ) 花開(ひら)きて処処(しょしょ)新たなり
⊂訳⊃
十一年前は 南へゆく旅人だった
四千里の彼方から いまは北へ帰る人
麗らかな春を追って 都にもどることをお許しになり
宿駅の路に花は咲き どこもかしこも目新しい
⊂ものがたり⊃ 柳宗元は北還を急ぎ、洞庭湖から長江をへて漢水を遡り、陸路、武関(陝西省丹鳳県の東南)を通って秦原(関中盆地)に入ります。詩題の「灞亭」(はてい)は灞水のほとりの駅亭で、一月に永州を発った柳宗元は二月に灞上に着いています。
長安は目の前です。十一年前、南へ追放された身を思えば夢のようです。「陽和」は麗らかな春の陽ざしで、南から北へ移る春を追って都にもどってきました。宿駅の路のほとりに咲いている花も、はじめて見るように新鮮です。
北還の詩はいずれも七言絶句で、韻律も滑らかに都へ帰る喜びを伝えています。だが、待っていた運命は苛酷でした。